帰省の最終日に電話、写真、地図、決済まで並べると、教えた側だけが達成感を持って帰ることがあります。練習票は量を増やす紙ではなく、今日の一つを閉じる紙です。

先に結論

練習票には、①本人が覚えたい操作、②始める画面と終わる画面、③迷ったら戻る場所、の三つだけを書きます。一回に一操作とし、できなかった回数や家族の採点は残しません。

迷ったら、この三つで分ける

  • 電話:相手を選ぶ所から終話までを一つにする
  • 写真:撮る・見る・一枚送るのうち一つだけ選ぶ
  • メッセージ:開く・読む・短く返すの一動作を選ぶ

身近な例:書道で一枚に十か所直しを入れると、次に筆を置く場所が分かりません。一度に一か所だけ見ると、本人が前の一枚と比べられます。

この例の限界:書道の練習とスマホ操作は同じ能力ではありません。痛み、見え方、聞こえ方、端末不具合が疑われる場合は練習量で解決しようとしません。

まず行う三ステップ

  1. 本人が今日やりたい一操作を選ぶ
  2. 入口・一動作・終わりを一行で書く
  3. 同じ入口からもう一度だけ試して終える

練習する操作を本人が選ぶ

困っている場面から3つに絞る

選ぶのは本人です。家族が「これができると便利」と考える操作ではありません。

教える前の聞き取りで出てきた困りごとから、多くて3つを選びます。3つでも多いくらいで、当面2つでも十分です。

よく選ばれるのは、この3つです。

  1. 電話をかける・出る
  2. 写真を見る・送る
  3. 困ったときに元の画面に戻る

3つ目の「戻る」は、操作中に迷ったときの選択肢です。ただしホームに戻れば不具合が直るとは限りません。追加操作を止めて相談する条件も一緒に決めます。

できる操作も書いておく

練習票には、もうできる操作も書きます。

「電話は自分でかけられる」「写真は見られる」。これを書いておくと、教える側が同じ説明を繰り返さずに済み、本人も「全部できない」という感覚から離れられます。

できない一覧だけを作らない、というのがこの項目の意味です。

一回の練習を一動作で閉じる

見本は短く、実際に使う端末で

見本が必要なら、一動作だけ短く示し、その後に本人が試すかを聞きます。回数を固定せず、「もう一度見る」「ヒントだけ聞く」「今日はやめる」を本人が選べるようにします。

原則として、本人が普段使う端末と現在の画面で確認します。家族の端末と機種やOSが違う場合は、同じ位置や表示名だと決めつけず、対象端末の公式案内に戻ります。

家族の手を離す

見本のあとは端末を本人に戻し、家族は勝手に操作しません。止まったら、本人に「少し待つ」「言葉でヒントを聞く」「一緒に画面を見る」「今日は終える」のどれがよいか聞きます。

みおは、待つ時間に自分が代わりに押したくなることに気づきました。待ち時間を秒数で決めず、本人の返事を確認してから次の支援に進みます。

できたら、そこで終わる

1動作できたら、その日はそこで終わりです。

「じゃあ、ついでにこれも」と増やす前に、本人が続けたいかを聞きます。練習票では一操作で区切り、別の操作は次回欄に分けます。

迷った場所を本人の言葉で残す

画面名より見え方を書く

うまくいかなかった場所は、本人が言った言葉のまま書きます。

  • ×「ギャラリーアプリの共有シートで詰まる」
  • ○「四角から矢印が出てる印のところで、止まっちゃう」

正確な用語で書くと、本人が読み返せません。練習票は本人のものです。

秘密の情報は書かない

練習票には、パスワード、暗証番号、届いた認証コード、やりとりの中身を書きません。台所やスマホのそばに置く紙なので、そこに秘密を置かない設計にします。

終わり方と戻り方を同じ練習にする

目的の完了画面を本人と確かめる

「送れた」がどの画面で確認できるのかを、本人と一緒に見ます

送信済みの表示、送った相手の名前、時刻。ここを確認できると、次からは本人が自分で「できた/できていない」を判断できます。家族に聞かなくて済む部分が、ここで増えます。

開始画面に戻せるかまで見る

そして、元の画面まで戻って、1動作の完了とします。

送れたけれど、そのあとどこにいるかわからない——この状態で終わると、次に開いたとき混乱します。行って、帰ってくるまでが1動作です。

次回は同じ入口から短く再開する

できなかったことを宿題にしない

次回までの反復を宿題として課しません。本人が一人で試したい場合は、止める条件と質問先を決めます。試さない選択も残し、できなかったことは次に一緒に確認する候補として書きます。

練習票は本人が読める量にする

一枚には、本人が読み返せる量だけを書きます。入口、今日の一動作、終わり、戻る場所、次回候補の五行を上限の目安にし、文字サイズや表現は本人と試します。

やりがちなこと:帰省の最終日にまとめて教える

滞在の最後に複数の設定と練習をまとめると、次に質問できる時間が残りません。

可能なら、後で質問できる時間帯に一操作だけ試します。家族が帰った後の相談先や、次に確認する日も練習票に残します。

今日の結論

練習票は教える予定表ではなく、本人が『今日はここまでできた』を確かめる一枚です。

今日の一歩:今日の欄には、操作を一つだけ書き、残りは空欄のまま終えます。